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書きかけのやつとか

四月馬鹿なネタとかも考えてたんだけど纏まらなかったので諦めて、そして書きかけで終わらぬままに放置しているホワイトデーネタを晒す…。
続きをどうしようかなぁって思ったままなんか放置しちゃったんですよね。
あとはにょたエロネタも書こうとしてる。本番からぶっこも!って思ったんですけど、私導入がないとうまくかけねぇな、としみじみ思ったので書き直し予定。
ん~でもエロへの持って行き方難しいんですよね。どうやってそこに持って行こうかな。



とりあえず冒頭だけ書いてたホワイトデーネタです!







 南泉一文字は激怒した。
 必ずやあの高慢不遜な美貌と切れ味だけは認めてやらなくもない腐れ縁をぎゃふんと言わせねばならないと決意した。いつもはなんだかんだ面倒くさいことも手伝ってあいつの我儘にも嫌味や揶揄にも耐えてきたが、その堪忍袋の紐を切れる寸前である。いかな無代の名刀とはいえ、我慢の限界というものは存在するのだ。ズカズカといつもは猫のようにしなやかに音を立てぬ廊下を音を立てて進み、無作法とわかっていながら声をかけることなくスパン、と突っかかりのない障子を開け放つ。見渡した中には少しばかり目を丸くした腐れ縁が文机の前に座って書き物をしていて、昨夜の夜戦の報告書を纏めていたのだろうことが窺えた。まだ昼を少し過ぎたばかりを考えれば夜戦にも関わらずそれなりに早く起きていたことが察せられる。夜戦部隊は次の日は大概非番を与えられているにも関わらず、だ。思わず眉間に皺を寄せて目を細めれば、件の男は僅かな動揺を綺麗に消して、いつものいけ好かない薄ら笑いを貼り付ける。しなやかに弧を描いた口元が鈴を転がすように楽しげに喉を震わせた。

「おや、どうしたのかな猫殺し君。声もかけずに戸を開けるだなんて、一文字に相応しい作法とは思えないけど」
「お前にだけは言われたくねぇよ。なんで起きてんだお前。夜戦部隊は1日非番だろ」
「怠惰は性に合わなくてね。どうせ纏めなければならないものだし、いつやろうが俺の勝手だろ」

 誰に迷惑かけているでもなし、と澄まし顔の男のツンと向いた顎先に鼻に皺を寄せ、ぐっと吐き出しかけた悪態を飲み込む。出せば出しただけ打てば響くように返ってくる掛け合いが今の目的ではないことを思い出したからだ。むしろ起きていることは好都合と思わなくては。夜戦であったことを忘れていたことは棚に上げて、南泉は仏頂面で室内に踏み込んだ。だがまあそれはそれとしてこいつの働き方には難有りなので対策は講じるが。仏頂面で部屋に押し入ってきた南泉に山姥切は書き物の手を止め、すり、と膝を滑らして体を捻る。座布団の上で律儀に向かい合う丁寧さに分かりにくい実直さが出て南泉は更に眉間に皺を寄せた。ピンと南泉とは違い伸びた背筋の美しさが豪壮な刀身そのものにも見えて、さらさらと鋼色の指通りの良さそうな髪が荒れも乾燥もない滑らかにパールを散らしたような輝きを放つ白い肌を滑る。扇型に生え揃った睫毛はふぁさり、と瞬きと同時に上下してどうしたのかな、という疑問を乗せた。くどいぐらい真っ直ぐな青い輝石に映る南泉はしかめっ面で山姥切を睨み据えている。いつになく険しい顔付きに、はて?と腐れ縁の不機嫌さに山姥切は首を傾けた。そりゃ、彼は山姥切と対峙すると大体嫌そうな顔をするけれど、それは山姥切が南泉を揶揄いに行くからなので、わざわざ向こうから無作法を通して入ってきたのにこんな仏頂面をされる謂れはない。何か彼の気に触るようなことをしたかな、と思いはすれど、たくさん理由はあってもそのどれもが決定打にかける。強いて言うなら夜戦明けで仕事をしていることぐらい?なんなんだ、と見上げれば、南泉はむっつりとへの字に口元を結んでおらよ、と山姥切に紙袋を差し出した。投げつけないところに育ちの良さなるものを覚えつつ、へ?と突き出された紙袋に間の抜けた顔を晒した。

「お前、その自己完結型の性格、マジでなんとかしろ。…にゃ」
「はあ?」
「渡したからな。文句は受け付けねぇ。来年なら聞いてやらなくもねぇけどにゃ!」
「意味がわからないんだが?大体なにかなこれは。貰う理由がないんだけど」

 押し付けるように差し出されたそれを憮然とした顔で受け取りながら、白地に桜の箔押しがされた質の良い紙袋に怪訝に視線を落とした。訝しげな山姥切を尻目に、受け取ったのを見届けた南泉はじゃあにゃ!と最後まで呪いに語尾を噛みながら去っていく。は?おいちょっと待て。去っていく背中に慌てて声をかけてみるが、そんなもの聞こえないとばかりにさっさと部屋を出て行った南泉にぽかんと紙袋と一緒に取り残された山姥切は嵐のようだな、と溜息を吐き出した。普段嵐と呼ばれるのは山姥切の方であるだけに、いやに押しの強い南泉に違和感を覚える。まあ、きっとこの紙袋が原因なんだろうが。じとりと見下ろし、硬い質感の恐らくはブランド物のそれに首を傾げつつ中身を検める。かさりと音を立てて探れば、ころりと四角い箱が目に入る。黒い箱にはブランドのロゴ。生憎山姥切には馴染みのないブランドで、それが何を指すのかはわからない。まあ開ければわかるか、と爪先を引っ掛けるように隙間にいれ少し力を込めて蓋を開ける。箱を斜めにして少し揺すりするりと中身を掌に出して、ほぅ、と吐息を漏らした。白い外観に桜の絵柄。淡い流水に薄紅色と金箔が散って、綺麗で可愛らしい見た目はしかし少女趣味染みていて山姥切の手に収まるのにはなんともむず痒い。どちらかというと粟田口の乱れ刃が艶やかな短刀や、新刀の艶紅の似合う打刀、華やかで豪胆な大太刀なんかが好みそうである。

「あいつ、こんなものよこして何を考えているんだ…?」

 見た目がどこぞの組の若衆のような派手な見目をしているだけに、手土産のギャップが酷い。どんな顔をして買ったのか想像すると面白おかしいが、つまりこれはお前も似合わないものを持てという普段の仕返しか?だが、派手にキラキラしいわけでもゴテゴテに可愛らしいものでもなく、そこはかとなく落ち着きのある絵柄の入れ物だ。そこまで山姥切に似合わないわけではなく、益々意図が掴めずにそういえばそもそもこれはなんなのか、と言う答えは分からずじまいで山姥切は放置した空箱を再び手に取りひっくり返した。大体パッケージに商品名は書いているものである。小さな文字を追いかけるとふむ?と一つ呟いて、容器の蓋をクルクルと回した。ぱかり、と開くと、白っぽく少しきらきらとパールの煌めきが混じった軟膏がたっぷりとおさまっている。開けた瞬間、仄かに香る微香は桜だろうか。

「リップバーム、ねぇ…」

 山姥切に贈るものとしてはなんとも奇妙な采配である。特別に手入れをしているわけではないが、さりとて唇が荒れているわけでもなく、それこそ女性に贈るような物を男性体である山姥切に贈る意味。まあ別に、あって困る物でもなく使って無意味なものでもないので、受け取ることに否やはないのだが…。

「まあ、理由は問い質さなくてはね」

 与えられる理由もわからず受け取るわけにはいかない。ましてや南泉からである。なんのつもりで、どんな意図で。なんとなく、と言う理由ではあまりに不釣り合いな…いや、先の言動からして何かしらしっかりとした理由がありそうなので、それについて聞き出さなければ納得できない。疑問をそのままになどしておけず、リップバームの蓋をして文机の引き出しに大切に仕舞ながら、山姥切はくっと目を細めた。
 さて。どう聞き出してやろうか。存外に口の硬い刀の口を割るために優秀な頭で策略を巡らした。


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