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「ウィッチハンターちょうぎ!」

めっちゃ趣味に走った問題作。
魔法少女パロ的なものを目指した何か。
コミカルにしたかったのに全然ならなかったなぁ、と反省しています。
山姥を英語で言うと「mountain witch」 なので、ウィッチハンター。
口上台詞とかもっと言わせようかと思いましたが、くどくなるかなって思って省略。
一応「現世(うつしよ)で、修羅の道咲く華一輪――ウィッチハンター長義!ここに推参!」とか言わせてみたかったけど、らしくないなって思いました(笑)




長船長義

 文武両道、才色兼備で「ノブレスオブリージュ」が信条の完璧スーパー女子中学生。
 外国の血が混ざっているのか綺麗な銀の髪と青い瞳の美少女だよ!
 今年の冬に道路で死にかけていた猫を助けようとしたら、急に喋り出して「刀を持って敵と戦うにゃ!」って言われて捨てようかどうしようか迷った事件が起きたよ!それからなんだかんだで猫の言うとおりに化け物と戦うことになったけど、正直めっちゃ楽しい!って思ってる割と血の気の多い女の子だよ!最近猫グッズ集めに執心してるらしいよ!

南泉

 通称「猫殺し君」と呼ばれる喋る謎の三毛猫だよ!その毛並は日々長義ちゃんによって艶々もふもふに保たれてるよ!相棒の長義ちゃんとは基本嫌味ばかり言い合ってるけど、実はとっても仲良し!本人は認めていないけど、満更でもないらしいよ!なんだか色々謎があるみたいだけど、基本的に長義ちゃんさえよければなんでもいいと思ってる節があるよ!本当の姿はもっと大きくて泣く子も黙る姿らしいけど・・・?



ちなみにこの話の裏設定的な話はこの先にちょこっと。
世界の裏側で起きてること。ハッピーエンドの行き着く先。
 













 それは、あまりにも悲運が重なった結果の、悲劇とも呼べないとある刀の身の上に起きた、出来事だった。

 偶々、時の政府でさえも予想だにしていないような事態が判明したこと。
 偶々、そのことについて内々で対策に動き、その解決策が打ち出されたこと。
 偶々、その作戦の鍵となる人物を探していたこと。
 偶々、とある刀の分霊が、主による無体でその存在を薄れさせていたこと。
 偶々、その刀が、政府に保護されたこと。
 偶々、その刀に適正があったこと。

 偶々、偶々。

 様々な偶然が、必然のように折り重なって、作戦は決行された。
 人の所業に心折れぬまま、それでも疲弊し弱体した優しい刀の付喪神を利用した、事態の収拾を図る事案。
 それは決して万全などではなく、あまりに穴だらけな、運と可能性にかけた作戦とも呼べない作戦ではあったけれど。成功する見込みもなく、失敗する可能性の方が大きい、あまりにリスクの高い作戦だった。失敗すれば、消滅するしかないような――そんな、割に合わない、けれどやらなければ最悪を招く、選択肢のない選択肢。
 誰に知らせるでもなく。誰に知られることもなく。表面上は何もなく、ただその水面下のみで動き出したそれに、折角助け出されたのに、またも死地へ、今度こそ消えるかもしれない場所へと送り出される刀の付喪神は、淡い微笑みを浮かべて許諾した。


 それが、人(きみたち)の助けになるのなら、と。


 利用されることを許した神様は、自らを変質させるそれを受け入れ、己の全てともいえる力と、魂を切り離され、とある世界線に送られた。
 平行世界。放棄された世界とはまた別の、異質に生まれた分史世界――それは時の政府が知る世界とよく似て非なる世界であり、歴史への攻撃が生み出した世界の「歪み」
 歴史改変を目論む時間遡行軍による各時代における襲撃とはまた別に起こったそれは決して見過ごせるものではなく、その歪みが大きくなれば、この世界さえも喰らう災厄になると判断された。
 その歪みを正すため――葬るために、選ばれてしまった銀色の神様は、己の大半を抜け落としたまま1人の少女として生まれ落ちた。
 刀の付喪神が、人間の少女として生まれる歪さ。
 リスクはただ一つ。神の魂に適合する人の子の魂と肉体があるかどうか。
 なければ神は消え、また新たな神が送られるだけの――そんな、歪な作戦。
 それを乗り越え、生まれ落ちた神様を、運が良かったというべきなのか、哀れだと同情するべきか、それは送り込んだ人の子にもわからなかった。
 ただ、あまりにも無謀で、無茶な方法だったせいか。ただでさえ弱っていた魂に、無理な圧力と操作を加えたせいか。人に成った付喪神はその記憶を失くし、ただの少女としてその世界で生きていく。成長しても思い出すことはなく、世界を葬るための力を取り戻すこともできず、このままでは送り込んだことに何の意味もない、と悲嘆が覆い尽くした頃、消えた神を追いかけて一振りの刀が乗り込んできた。


 そしてその刀もまた、その世界へと送られる。


 その場にいる人の子の、最も地位の高い者を切り殺し、神の怒りを爆発させ、そうして追いかけるように――歪んだ神を、歪められた刀の魂を、己が認められない腐れ縁を、この手で切り捨てるために、追いかけて。
 けれど見つけた人に成った腐れ縁は、どこまでもあの刀だったから。
 銀の髪に、青い瞳の、どこまでも美しく高慢な、刀のままだったから。
 殺せるわけもなく。切り捨てられるわけもなく。呆れるほどに我の強いその魂に安堵して。そして、どうしてこうなったかを、その刀はきちんと知っていたから。
 世界に働く抗体反応に消される前に、己もまた己に適応するモノに憑依することにした。それは、彼にとってかなり屈辱的なことではあったけれど…適合したものがそれなのだからしょうがない。
 そして、彼は彼の――彼女の傍にいく。かつてのように、呆れるほど近い位置で。
 それが切欠になったのか、少女は力を目覚めさせ、記憶はないままに仕事を果たすようになっていくのだけれど。
 それでも彼と彼女は、昔と変わりなく過ごせているので…心のままに、思うがままに、誰に損なわれるでもなくあるがままに生きているので。
 それがどんなにか歪で、いつか消える定めだとしても――一振り、全てを知る猫を斬り殺した刀は、なぁんと鳴いて、笑うのだった。





山姥切長義

 審神者による冷遇、言霊による悪意ある虐待により存在が薄れかけて政府に保護された個体。心は一切折れてはいないが、それはそれとして審神者の性質が悪かった。
 政府に保護されたのにそこからまた掻っ攫われるように分史世界の問題をその身を捨てて解決せよと押し付けられたのを快諾しちゃった。まぁやらなきゃこっちが危ないんなら断る理由もないよね、どうせ消えかかってたんだし。とのこと。世界の歪を治せばその世界ごと自分も消えるが、まぁそれはそれでいいか、と思ってるオリハルコンメンタルの持ち主。
 現在分史世界で記憶はなく人間の少女になってはいるが、人生謳歌している元気なお刀様。山姥切るのたーのしー!って思ってるから人間でも根っからの戦闘狂。

南泉一文字

 山姥切と同本丸にいた個体。審神者によって存在が消えかかっていた腐れ縁を抱えて政府に保護してもらったら、急に相方がいなくなってバーサクモードに移行した。
 方々手を尽くしてやっと見つけたと思ったらお前なんてことに巻き込まれてやがる。そしてあいつになんてことをしやがったとブチ切れて偉い人の首をチョンパした。
 事情は一応残していた人間に聞いたので、解釈違いの化け物切りがいるとかふざけんな、と思って切り殺すために飛んだらミイラ取りがミイラになった。あーこいつがちょっといじくられた程度でどうこうなるはずもないかーと思わずニッコリ。
 適合先が人間ですらなく猫なところにショックを受けつつ、猫になったせいで以前より腐れ縁に構われるのも割と辛い。猫じゃなんもできねぇじゃねぇか!
 多分最後の最後で元の姿に戻れるが、その時は世界が終る時。夢の中なら逢瀬もできる、かも?

分史世界

 歴史改変の影響で生まれた放棄された世界線とは別の異世界にも似た平行世界。世界の歪。
 何も歴史という大きな軸への干渉がその世界だけにとどまるよりは、もっと変質したそれこそ消滅させなければいけないようなものを生み出しても可笑しくないかなって思った。
 TOX2的な感じに思って頂けるとありがたいですな。

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